血流は酵素から始まる

この章では人間の体を無数に駆け巡る血管と血液の中で、どのように酵素が役割を果たしているかを解説したいと思います。血液の始まりから、血流の手助けまで、幅広く活躍していますよ。
「血液の生まれ方」って意外と知られていません
予想外の場所からスタート

血液の中を流れる赤血球。
酸素や栄養を全身に運び、不要な老廃物や二酸化炭素を回収する重要な働きを持つこの「血液の主役」ですが、一体どこから生まれるのかと言いますと、
心臓
ではなく、実は血管の内側から出てきて、最初は血管の壁にくっついたままなんだそうです。
このブドウのように、ギッシリと壁にくっついたままなんですね。
以下、ブドウに赤血球を演じて頂きます。
ハサミ役の栄養素とは?

血管の壁にギッシリと張り付いた赤血球を、切り離して血液の中に落として流れるようにするハサミがあります。
「ADAM8」
と呼ばれる体内酵素なんです。
まるで赤ちゃんのヘソの緒を切るかのごとく。

このハサミ役の酵素 ADAM8 が、赤血球と血管の壁を接着しているタンパク質を溶かす働きを行い、赤血球を血管の内壁から切り離します。
チョキチョキと。
めでたく血液の誕生です!

そうして、きれいな赤血球が血液内に増え、血流もスムーズに流れるというわけなんですね。
この研究は瀬原淳子・京都大教授により行われ、明らかになったそうです。
ものすごくよく見える、顕微鏡を使わないとわからなかったでしょうね。
ADAMって言う名前自体、アダムとイブを連想させ、生命の始まりを感じますが、消化やお肌の新陳代謝だけでなく、血流の始まりにも影響を与えるとは驚きです。
次は血流がスタートした後の酵素の働きについてです。
さらに酵素で「めぐり」を加速!
生まれた血液がサラサラになる理由をイラストで解説

酵素のハサミ「ADAM8」によって、誕生した赤血球。生まれた後は、スムーズに体を駆け巡ってもらい、体の各所に栄養や酸素(さんそ)を届けて欲しいですよね。
実は血液中に流れる赤血球は電気をもっています。全てがマイナスに帯電しているため、一つ一つがまるで磁石の同じ極が反発するように独立をして、ほどよい距離を保って流れているんです。
さらに手や足の先、脳の中などの細い毛細血管に入り込むときは、自らを折りたたむように変形して流れ込みます。毛細血管は、赤血球1個がやっと入り込めるほど細いんです。
こうして体のすみずみまで栄養や酸素が行きわたり、健康な体をつくります。血の巡りがよいと冷え症や肩こり、肌荒れにもなりにくいんです。
ところが、この赤血球がくっつくことがあります

普段は反発し合ってサラサラと流れる赤血球も、くっついてしまい流れが悪くなる場合があります。
それは肉やバターなどの動物性の脂肪が血管内に入ってくると、これらはプラスの電気(イラストでは黒い角付きのもの)を帯びているために、マイナス電気を帯びた赤血球の間に入り、くっつけてしまうんです。磁石と鉄球に例えると、反発し合っていたN極の磁気を帯びた鉄球が、S極の磁石に吸い寄せられてしまうという風に。
こうなると、赤血球の流れが遅くなり、大きさも2倍3倍となってしまいますので毛細血管にも入りづらくなってしまいます。
(また、アルコールの飲み過ぎは毛細血管自体を縮めますので、赤血球が流れづらくなります)
「プラスの電気のノリ」を切りはなすのも酵素の役割

このくっついた赤血球を切り離すのも、酵素の役目。
血液に入り込んだ動物性タンパク質を分解する酵素により、プラスの電気を切ってしまい、赤血球を元通りに独立させます。
このタンパク質分解酵素は主に新鮮な生の野菜や果物、発酵食品に含まれます。
これらを十分に食事に取り入れ、「赤血球の独立」を保ちたいですね。特に、肉類を多く食べた場合は新鮮な野菜を多く食べることをお忘れ無く。
(またサバ、イワシ等の青魚に含まれる油には、赤血球をやわらかくし、毛細血管に流れ込みやすくする働きがあるので、これも血液サラサラに役立ちます)
この特集を組むにあたり参考にした文献です。
集英社 「Marisol」2011年7月号
主婦の友社 鶴見隆史監修「生で食べれば病気にならない」
エドワード・ハウエル著 「酵素栄養学(邦題キラーフード)」現代書林
アンドリュー・ワイル著 「ナチュラル・メディスン」春秋社














